ファッションを知るには馬を知れ
「ファッションを知りたいのに、どうして馬の話が出てくるんだ？」という声が聞こえてきそうですが…
本日は『馬』のお話です。
実は、馬というのは人類のファッション史において、非常に大きな変化を与えてきた動物なのです。
ファッションというのは、生活スタイルの中でそのカタチを変えていきます。
一体、馬は人類の生活スタイルにどのような変化を与えてきたのか。その生活スタイルは、人々のファッションをどのように変えたのか。
この記事では【 人類のファッション史と馬の関係性 】について解説していきたいと思います。
この記事を読んでいただければ、ファッション史の理解を深められるだけでなく、馬と関わりながら成長してきた、各国のブランドに対しての尊敬の念が芽生え、もっと好きになっていただけるはずです。
人類と馬の歴史
ファッション史における馬の存在
ファッションの歴史を語る上で、欠かせない動物の存在があります。それが馬（Horse）です。
人類と馬の歴史は深いもので、その歴史は旧石器時代にまで遡ると言われています。その関係性は、陸上輸送としての馬車・軍隊としての戦車・農耕用としての農耕馬など、生活に欠かせない動物として、人類とともに歩んできました。
そして、その長い歴史の中で、馬は今日の人類のファッションに多大な影響を与えてきました。
ファッションブランドと馬の関係性
ブランドに残る馬の名残
我々の身近なところにも、馬が人類に多大な影響を与えたという足跡が残っています。
ブランドのロゴに目を向けることで、その名残を読み取ることができます。
例を挙げていきましょう。
HERMES ≪エルメス≫
職人の集団とも呼ばれるエルメス。エルメスは、もともとパリで高級馬具工房からスタートしたブランドです。その後、自動車産業の躍進による馬車文化の衰退という時代的背景から、上質な皮革の鞄や財布などをつくる皮革製品事業に転身し、現在の世界的有名ブランドとして成長してきました。このエルメスのロゴに、馬車として馬が登場しています。エルメスのロゴは『主人のいない馬車と従者』というのが特徴で「主役はユーザーである、あなたです」というエルメスの哲学が込めらたロゴでもあります。
RALPH LAUREN ≪ラルフローレン≫
アメリカン・トラディショナルの代表的存在であるラルフローレン。ラルフローレンは、もともと高級ハンドメイドのネクタイからスタートしたブランドです。レディースウェアやテーラードスーツなども手掛け、アメリカ映画『アニー・ホール』で衣装として着用されると、一大ブームを巻き起こします。その後も、様々な分野で挑戦を続け、現在の世界的有名ブランドとして成長していきました。このラルフローレンのロゴにもやはり馬が登場しています。ラルフローレンが手掛けていたポロシャツは『ポロ』競技用のシャツが略されてポロシャツ。ブランドロゴは、このポロ競技に由来するわけです。
この他にも BURBERRY ≪バーバリー≫、ファッション以外では『跳ね馬』の愛称で知られるイタリアの高級車 Ferrari ≪フェラーリ≫ や、ベルギーの高級チョコレート GODIVA ≪ゴディバ≫ など様々なブランドのロゴで馬が登場しています。
人類の歴史において、馬に関わる生活を送るということ自体が、ある程度の金銭的余裕がないとできないことでした。
つまり、馬に関わる生活というのは、人々の憧れであり、最高のプレステージだったわけです。
馬がファッションに与えた影響
では、実際に馬がファッションに与えた影響とは、どういったものがあるのでしょうか。
ここでは、特に大きな影響を与えたものを絞って紹介します。
16世紀～17世紀。主に英国で農民の労働着として広まった『フロック（frock）』という上衣が、18世紀に上流階級のアウトドア用ウェアとして普及します。
ここから、それまでの前裾が長い上着では乗馬に向かないため、前だけカットし、後ろを長く伸ばした『燕尾服』が登場します。いわゆる『モーニング』のことです。
さらに、乗馬をすると強い風に耐えなければならないため、前合わせの部分と重ねた『ダブルブレスト』が誕生します。
また、立てた上襟にホックをつけて閉じると一層風除け効果が高くなり、姿勢がよくなり見栄えがいいことから、『立ち襟・詰め襟』が誕生し、これが多くの軍人に好まれるようになり普及すると、現在では学生服などにも使われているというわけです。
学生時代に着ていた制服のルーツは、人間と馬との関わり中で生まれ、現代まで受け継がれているモノと聞くと、とても親近感がわくのではないでしょうか。
まとめ：ファッションを知るには馬を知れ
- 馬はファッションを語る上で欠かせない存在
- 様々なブランドに馬の名残が存在する
- 馬は人々の憧れ。最高のプレステージ
馬は人類のファッション史において、欠かせない存在です。そして、人々の『憧れ』という感情が、ファッション史を作り上げてきたわけですね。
本日はここまで。
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